乳がんと診断された方へ|治療だけでなく「これからの生活」を一緒に考えるために

乳がんは、乳房の中にある乳腺に生じるがんです。多くは女性にみられますが、男性にも起こることがあります。乳がんには、ほかの内臓のがんとは少し異なるつらさがあります。しこりや皮膚の変化を自分の目や手で感じられるため、「大きくなっているのではないか」「また悪くなったのではないか」と、不安が日常の中に入り込みやすい病気です。
治療によって乳房の形や髪、肌などの外見が変わることは、単なる見た目の問題ではありません。こうした変化を支えるアピアランスケア(外見が変わることに対する医療・心理・社会的な面を合わせたケア)も大切です。自分らしさや女性性、妊よう性、パートナーとの関係、仕事や育児など、これまでの生活や将来への思いにも関わります。男性乳がんでは、周囲に同じ病気の人が少なく、戸惑いや孤独を感じることもあります。
どのように受け止めるかは一人ひとり違い、「こう考えるべき」という正解はありません。「前向きでいなければいけない」ということももちろんありません。がんと診断され、つらい思いをしている患者さんに、これ以上何かを強要することはあってはならないと思っています。
乳がんは、がん細胞の性質によって治療法が異なり、手術、放射線治療、薬物療法などを組み合わせながら、長く治療を続ける方もいます。治療と仕事や家庭生活を両立すること、検査のたびに揺れる気持ち、再発への不安を含め、長い時間を見据えた支えが必要です。病気が進行・再発した場合には、乳房の痛みや出血、においを伴う傷、腕のリンパ浮腫のほか、骨・肺・脳などへの転移による症状が現れることがあります。ただし、すべての方に同じ変化が起こるわけではありません。
緩和ケアは、治療を終えた方だけのものではありません。診断された時から、がん治療と並行して受けることができます。痛みや息苦しさ、傷の処置だけでなく、外見の変化への戸惑い、これからのことへの不安、家族や仕事、お金の心配もケアの対象です。通院が難しくなった時には、病院と在宅医療が連携し、ご自宅で症状を和らげながら治療や生活を支えることもできます。
むすび在宅クリニックが大切にしているのは、乳がんだけを診るのではなく、乳がんとともに生きる「その方自身」を支えることです。病気のために大切な生活や人とのつながりまで諦めなくてよいように、何を守り、どのように過ごしたいのかを一緒に考えます。
この先の記事では、診断された時に知っておきたいこと、進行・再発時の症状とその和らげ方、在宅療養という選択肢を3つに分けてお伝えします。今の気持ちや状況に近いところからお読みください。