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院長対談 2026.02.27

院長対談 グループホーム板橋 管理者 井之上陽子<後編>

院長対談 グループホーム板橋 管理者 井之上陽子<後編>

医療法人社団むすび 理事長:香西友佳(こうざいゆか)
グループホーム板橋 管理者:井之上陽子(いのうえようこ)

グループホーム板橋は、ケアホーム板橋という複合型老人施設の一角にあります。グループホームは認知症のある方々が、プライバシーが尊重されながらも10人単位の家庭的な雰囲気の中で、他の利用者さんと一緒に楽しく過ごしていただけます。「優しさと思いやりの心」を施設理念として、スタッフのサポートを受けながら充実した生活を過ごしていただけるよう支援いたします。
公式サイト→https://itabashi.tokuyou.jp

女性の背中越しの女性

グループホームにおける医療と介護の連携

香西:
グループホームの課題として井之上さんが感じているものはありますか?

井之上:
香西先生を目の前にしてお伝えするのもなんですが、医療面での不安がグループホームの一番の課題です。うちの施設ももう7年目なので、80代で入所された方が90代と高齢になってきている中で、どうしても医療面の問題が増えてきています。利用者さん本人もご家族もこれからのことを不安に思っているところでしたが、そんなタイミングで香西先生と出会えて、お願いする機会が増えて。ご家族からも感謝されていますし、職員も働く上ですごく安心です。

香西:
ご高齢になると認知症以外の病気も抱えている方のほうが多いですし、転倒してけがをしたり、新しい病気を発症したりすることも多々あると思うので、どの高齢者施設においても医療と介護がタッグを組んで支えていくことが重要だと思っています。

井之上:
例えば、利用者さんが風邪をひいてしまったとしても、ご家族も遠方だったり高齢だったりしてなかなか来られないことも多いですし、認知症の方が慣れない場所に行くこともストレスで、病院を受診するのはすごくハードルが高いんです。なので、そういったちょっとしたことでもすぐに相談できる窓口があるというのは本当にありがたいです。

香西:
そう言っていただけると嬉しいです。医者が訪問すると施設職員や利用者さんたちに緊張が走ることもあるのですが、グループホーム板橋ではいつもウェルカムな雰囲気なので、気軽に「来ちゃった」ってできます(笑)当院に足りないところとか、もっとこうしてほしいというような要望はございますか?

井之上:
夜間や土日でもちゃんと連絡が取れる体制なので、安心しています。香西先生にお願いするまではそうではなかったので、夜中に電話をかけた翌日に職員が、「先生、本当に怒ってなかったですか?迷惑じゃなかったですか?大丈夫ですかね?」とオロオロしていましたが、私が「気にしていないと思う。最初のうちはお互いに慣れないこともあって、いろんな連絡が入るのは想定内だから、遠慮なく気になったら電話していいと思うよ」と代わりに答えておきました。訪問診療の時間は「この日の午後いつか来る」というアバウトな予定をいただいており、職員はそわそわしながら時間を気にしていることがありますが、うちも急な往診をお願いしていることも多々あるので、「押してるんだと思います。絶対来るから、気長に待っていましょう」って周知しています。私はもう慣れちゃいました。

香西:
アバウトな時間しかお伝えできず申し訳ございません。時間外のお電話はいつでもかけていただいて大丈夫です。たまに手が離せなくてすぐに出られない時がありますが、必ず折り返しますので気長にお待ちいただけたらと思います。夜中の電話でも怒ることはないのでその点もご安心ください(笑)

井之上:
これからグループホームでの看取りもちょっと増えてくるかなと思うので、看取りが近くなって医療依存度が高くなってきても、一緒にやっていきたいです。

女性医師

香西:
当院が入ったことで、グループホームの入所判定の際にも、少し医療依存度が高い方の受け入れもしやすくなりましたか?

井之上:
香西先生が診てくださるんだったら、こちらとしても安心して受け入れができるなと思います。うちのグループホームの雰囲気を先生はわかってくださっていると思うので、合いそうな方がいらっしゃいましたら、ぜひご紹介いただけたらと思います。先日のFさんのお看取りの際に、先生の他にも訪問看護師、言語聴覚士、歯科衛生士、理学療法士と、グループホームにしては珍しく多職種が集まって関わらせていただいたじゃないですか。うちの職員はみんなそういうのがほとんど初めての経験だったので、ご家族も看護師さんもみんな毎日入れ替わり立ち替わり来ることや、「これは誰に相談したらいいんだろう?」っていうところで戸惑いも大きかったのですが、すごくいい経験をさせていただいたと思います。ただ、グループホームの魅力は個別対応にあると思っていますので、認知症の方を中心に、その方が他の病気になっても、本人やご家族が望めば、病院に行かなくても医療が受けられるっていうのが理想かなと思います。

香西:
グループホームの良さを活かし、医療介入が過度になりすぎないようにしながら、それでもつらい症状や困りごとはちゃんと解決して、そこで暮らしていけるようにすることが、グループホームでの医療の関わり方ですね。いろんな症例を通して、多職種での連携がより強固なものになっていったら、変に遠慮せず、安心して相談や依頼をし合える最強の医療と介護のチームになれると思います。まだまだ、お互いのやり方がわからなくて手探りなところもあると思いますが、今後も関係を継続していけたらと思います。

井之上:
香西先生は器が大きくて、いつでも相談してくださいっていうスタンスでいてくださるので、小さなことから大きなことまで相談しやすいです。先日も糖尿病の利用者さんのおやつに関する相談で、「同じユニットのお友達と一緒に売店に行って好きなお菓子を食べたい。ご飯も糖尿病食じゃなくて普通の常食を食べたい」って本人が希望していて、ご家族もそうさせてあげたいっていうことがありました。職員としては、「そんな相談をして本当にいいんだろうか」って数日悩んでいたようですが、その話が私の耳に入り、香西先生ならいいって言ってくれるだろうと思って相談しました。先生は案の定、「いいよ」って即答してくれました。もちろんなんでもOKではなくて、「その代わり、血糖測定を診察のたびにこまめにするのと、血糖値が上がったら薬を増やすからそれは我慢してね」って言われましたね。そういう日常での小さな連携が増えていったらなって思います。

香西:
そういった相談はどんどんください。頼られているっていうことが私にとってのモチベーションになりますし、一緒に利用者さんに関わっているという一体感を味わえるので、細かいことでも何でもお伝えいただけたらと思います。

井之上:
私も「じゃあ、その件に関しては今度香西先生にお会いした時に聞いてみるから」と言う機会が増えて、それで職員の不安も落ち着くのでありがたいです。

女性二人の対談風景

グループホーム板橋の将来像

香西:
これからこのグループホームをどんなふうにしていきたいですか?これから10年、20年と経つにつれて、どういうふうに変えていきたいとか、維持していきたいものとか、新しい取り組みとかを教えてください。

井之上:
小さな取り組みは日々チャレンジしているのですが、大きなもので言うと、利用者さんにとっての第二のお家でありたいという気持ちが私は強くて、利用者さんに「ずっとここで、気兼ねなく過ごしていいんだ」と思ってもらえるようなグループホームでありたい、そうしていきたいと思っています。あと、館内に犬と猫がいるのですが、いずれはユニット内で動物を飼うという野望もあります。

香西:
なかなかペットと最後まで一緒に暮らすのは難しい世の中ですが、将来的には、飼っていた猫ちゃんと一緒に入居できるグループホームを実現したいですね。

井之上:
そうなんです!いまはまだ利用者さんのことで手一杯で、「誰がペットの世話をするんだ」っていうことになるし、動物が苦手な職員も利用者さんもいるし、衛生面での問題もあるし、ペット同士の相性もあるし・・・と、解決すべき問題が山積みではあるのですが、利用者さんと一緒にペットがうろうろしている環境っていいなと思います。

香西:
ペット共存ユニットを1つ作るとか、そういうことになりそうですね。みんなが自分の望む老後を実現できる、自由度が高くて、多様性に富んだ社会を実現する上で、いいモデルになるんじゃないかなと思います。
私の目標は「自分が最後を過ごす場所を作る」というもので、研修医の間に30か所くらいあちこちの老人施設を見学したのですが、「ここに入りたい!」と思えるところがなかったんです。それで、じゃあ作ろうと思って、救急、内科、リハビリ、緩和と学んで、訪問診療を始めました。私が作りたいのは大きいお家のような場所だから、いろんなお家を見たかったんです。グループホーム板橋に来てみて、初めてこれって私の理想かもしれないと思えるものに出会いました。私が歳をとったら、こんなふうに過ごしたいと思いました。井之上さんは、もし自分が認知症になったらここで過ごしたいと思いますか?

井之上:
私はこんな都会的なところじゃなくて、もっと田舎でもいいかなとは思っています。認知症になったら友人とも会えなくなると思うし、私は引っ込み思案なタイプなので、静かにそっとしておいてくれる方がいいかなとは思います。私自身がパーソナルスペースはちゃんと確保したいけれど、孤独ではいたくないと思っていて、そういう点では、利用者さんに対して提供したいものと、私自身が希望するものは同じかもしれません。もし、自分が若い頃の自分に介護されるんだとしたら・・・そうですね、それは割と悪くないかな(笑)

香西:
井之上さんは自分が受けたいと思う介護をいま提供できているということですね。

井之上:
完璧主義なつもりはないのですが、割と細かい変化に気づける職員でありたいと思っていて、例えば、夜眠る前に枕元にお冷を置いておく気遣いとか、眠れない夜には「じゃあ、ちょっとあっちでお茶する?」って言える心の広さとか。そういう真心を持ちたいし、そういう時間を楽しみたいと思っている私がいます。

香西:
井之上さんってプライベートでもそんなに優しいんですか?

井之上:
そんなことはないです(笑)家族のためにそっと枕元にお冷をおくなんてやったことないです。ここで働いている私を見たら、母はびっくりすると思います。仕事とプライベートと使い分けはありますよね。家にいたら、もう本当に動きたくない、何もしたくないっていう人間になります(笑)

胸に手を当てる女性医師と笑顔の女性

グループホーム板橋に入所を検討されている方へ

香西:
最後に、これからグループホーム板橋に入所を考えている方々に対してメッセージをお願いします。

井之上:
私はこれも「縁」だと思っています。縁あって、知り合うことができて関わらせていただくので、その縁を大切にして、本当の家族まではいかないですけど、第二の家族のように過ごせるグループホームでありたいなと思っています。その分、その方のことを知りたいっていう思いも強いから、ちょっと圧が強くなっちゃうところもあるかもしれないんですけど、そこはあまり嫌がらずに、グループホーム板橋で楽しく過ごしていただけたらなと思っています。動物好きの方には特におすすめです!

香西:
当院のキャッチフレーズは「縁を結ぶ、いのちを結ぶ、むすび在宅クリニック」ですので、縁を大切にしたいというところと、その方の家族まではなれなくてもそれに近いような存在になりたいというところが井之上さんと共通の思いでありまして、介護と医療と連携していい関係を築けていけたらなと思います。今後ともよろしくお願いします!

井之上:
よろしくお願いします。

握手する女性2人

編集:児玉紘一
執筆・文責:むすび在宅クリニック院長 香西友佳
対談日:2026年1月29日

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